日本全国がコロナ禍を抑えるための自粛要請下にあるなか、激震が走りました。週刊文春によると、政府が定年延長を決めた東京高検の黒川弘務検事長が、新聞記者ら3名と賭けマージャンに興じていたというのです。
事実関係の把握については、今後の更なる報道が待たれるところですが、注目点のひとつは産経新聞と朝日新聞の記者らが一緒に卓を囲んでいたということ。今回この2社はどのようなコメントを発したのかを見ていきます。
毎日新聞の報道によると、両社のコメントは下記のとおりです。
朝日新聞社広報部「不要不急の外出を控えるよう呼びかけられている状況下でもあり、極めて不適切な行為でおわびします」
産経新聞社広報部「取材に関することは従来お答えしていない」
また、読売新聞は下記のように報じています。
朝日新聞社広報部「金銭を賭けていたかどうかは調査中。勤務時間外の個人的行動ですが、不要不急の外出を呼びかけられている状況下でもあり、極めて不適切な行為でおわびします」
産経新聞社広報部「取材に関する事柄については、お答えしません」井口文彦・東京編集局長「取材過程で不適切な行為が伴うことは許されないと考えています。そうした行為があった場合には、取材源秘匿の原則を守りつつ、社内規定にのっとり適切に対処します」
なお、朝日新聞も、読売新聞と同様の内容を記事にしています。
不祥事発生時、第一声のコメントは会社の印象を大きく左右します。朝日新聞はとにかくまず「おわび」の意を示しています。各種事件を報じる一マスコミとして自社社員の行動も等しく報道し、また社員を断罪することで公正性、社内規律のアピールにつなげています。
対して産経新聞は一般論的な今後の対応方針を語るだけで、「おわび」は一切表明していません。これでは「身内に甘い」と思われても仕方ありません。もしかしたら本当に社内調査が進んでいないのかもしれず「仕事が遅い」という印象ももたれかねません。
ほぼ両極端の論陣を張る2社。その姿勢をここで評するつもりはありませんが、思わぬところで危機管理の初動対応の差が露呈してしまいました。なお、5月20日22時45分現在、Yahoo!ニュース御用達の産経新聞は、同サイトで本件を報道しておらず、21時46分に自社サイトでのみ報じています。
追記:その後、産経新聞社も各メディアを通じて「おわび」記事を掲載しています。