謝罪の基本は原因を直視すること

謝罪の基本は、相手に迷惑をかけた原因を直視することです。しかし、これは意外に難しい作業です。ついつい、何かと理由をつけ、不可抗力を引き合いに出してしまいます。

ただ、それではどんな言葉を並べても、相手の心に謝罪の気持ちが届くべくもありません。いや、その段階では謝罪の意が固まっていないのです。

何がいけなかったのか直視し、明らかにすることで、初めて謝罪の土台が出来上がります。

ここでは、ある大学の体育会チームの監督が自ら選手にラフプレーを指示し、相手チームの選手を怪我させてしまった事案を想定して、謝罪文を考えてみました。

(以下、謝罪文例)

冒頭まずは、このたびの私の不適切な指導によって被害に遭われた、流星学院大学の上野選手、そのご家族、選手の皆様、監督、コーチ、スタッフの皆様に深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
昨年流星学院大学に勝利し、後楽園ボウルを制覇しました。その流れで次も勝ちたい、どんなことをしても連勝したい、勝って我がチームの名声を高めるとともに、私の学内での地位も盤石にしたい、という思いが強くなりました。そんな身勝手な執念のせいで私どもの選手に、スポーツマンシップに反するタックル、戦術を強いてしまいました。
冷静に考えれば、アンフェアな方法で勝ったとしても、選手はうれしいはずがありません。また、学生を健全な社会人として世に送り出す責務を負う一教育機関の指導者として、甚だモラルを欠いた、到底許されない行為であったと深く反省しております。
今後、新たな監督、コーチ陣、第三者機関を交え、これまでの指導内容、チームの日々の取り組みを共有してまいります。そのうえで、問題点を認識、改善案を策定し、新たなチームづくりに向け、全力で取り組む所存でございます。
本学の試合をご覧になる方が、緑園大学は確かに変わったとご納得されるよう、日々精進してまいります。
これまで栄光の歴史を築いた本学の選手、OBの皆様に対しましても、多大なるご迷惑をおかけいたしました。この場を借りて深くお詫び申し上げます。
最後に改めて、このたび被害に遭われた上野選手に深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
以上